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パチパチ、とそろばんを弾く指先が止まり、会計の八重は顔を上げた。
「衣裳代、イベント参加に伴う交通費、その他の経費で年間15万7800円。あなた方のような訳のわからない仮装団体に、学校の貴重な部費を回す訳には行きません。あなた方の部室は吹奏楽部の自主練習に使いたいとの要望が寄せられています。よって、コスプレ部は廃止とします」
「待って下さいよ!そんな、廃部なんてあんまりです!」
食って掛かる部員に、八重は容赦無く冷たい氷のような目を向けた。
「仮装なら個人で勝手にやって下さい。学校からは費用も出しませんし部室も貸しません」
「仮装じゃないです、コスプレですっ!」
魔女のような格好をした女子生徒が不満そうに怒鳴るが、八重は眼鏡を上げて無視をした。
その隣では、「相変わらず容赦無いわねー」と鮎川がため息を吐いていた。
コスプレ部が何も言えなくなったのを見て、逸識がマイクを持つ。
「じゃあ、生徒から何の声もないみたいなんで、コスプレ部は本日を以て廃止ってことで」
廃止を言い渡されたコスプレ部は意気消沈と言った感じで席に着き、残った仕分け対象の部活もごくりと唾を飲んだ。