a☆u★c-G2-!
スライドしたドアから入ってきたのは鮎川で、逸識の姿を確認するなり「やっぱりここに居たのねー!」と口を尖らせた。
逸識は「バレたか」とペロリと舌先を覗かせ、陣取っていたソファーから立ち上がる。
そして、明衣の方を見ると白々しく言った。
「はぁー、やっぱ諦めるわ。よく考えたらaucに借り作っちゃうことになるしな」
「なっ、え、ちょっと待って!」
少し寂しそうに目を伏せ、溜息をついた逸識に、明衣は部室の段ボールからくたりとした様子の黄緑色の着ぐるみを取り出した。
「そこまで言うなら仕方ないわね。これ、あげるわよ」
「おっ、マジで?さっすがヅッキーニ!」
「ただし貸し一つね!」
明衣はニヤニヤと表情を緩ませている逸識に気付かないまま、人差し指を立てて念を押す。
逸識は「わぁかったってばー」と言いながら嬉しそうに、悪戯が成功した子供のような笑みを浮かべた。
「……あの生徒会長、卯月の性格知り尽くしてるな」
「明衣ちゃん、上手く丸め込まれてしまいましたね」
得意気な明衣を見ながら、楡がポツリと呟く。
五月女もぽかんとしながらそう零した。