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部室を後にした逸識と鮎川は、生徒会室に向けて二人並んで歩く。
鮎川は、逸識の腕の中でくたりと頭をもたげているウサギッシュの着ぐるみを訝しげに見つめ、尋ねた。
「これ、交通安全の時のヤツよね?こんなの持ってってどーするつもり?」
「ん?あぁ、マイキーにあげるんだよ。アイツ好きだろ、ウサギッシュ」
「…確かに言われてみれば欲しそうな顔してたわね」
「やっぱり?だよなぁ」
そんな会話を進めながら歩いていくと、生徒会室の扉が見える。
両手が塞がっている逸識に気を遣って、鮎川は自然な動作で扉を先に開け、彼を先に入るように促した。
「サンキュー。っと、マイキー!」
中に入るなり、逸識はそろばんを弾いていた八重に声をかけた。
八重は顔をあげ、何事かと目を細めるが、逸識の腕に抱えられているものを見て表情を変えた。
それを読み取った逸識は、ニンマリと笑って着ぐるみを八重に差し出す。
「欲しかったんだろ?」
「……………」
八重は無言で受け取る。表情からはわかりずらいが、かなりその場の空気が明るくなった。
「こんなもののために今までサボってたんですか。早く仕事をして下さい」
「ごめ〜んね♪」
照れ隠しか、早口で捲くし立てる八重に、逸識はいつもの軽い調子で応えたのだった。