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ep3*愛してエスケープ!




《純白のドレスに包まれて、永遠の愛を誓いませんか?》


もうすぐアナログ放送が終了するにも関わらず未だにブラウン管のテレビを点ければ、そんな言葉と一緒に真っ白なウェディングドレスを纏った花嫁が、こちらを見て微笑んでいる。

そんな画面をうっとりと眺めながら、巡は溜息を吐いた。


「はぁ〜、良いッスねぇ。6月の花嫁。ジューンブラインド!」


それを聞いていた日野が、ふんと鼻で笑い飛ばす。


「それを言うならジューンプライドだろう。刑事ドラマの見過ぎだ」

「惜しい、敦!ジューンフライドだよ!」


五月女が話に入る。

その時、テレビを黙って見ていた明衣のこめかみに青筋が浮いた。


「アンタらわざとやってんの!?それを言うならジューンブライド!揚げてどうすんのよ!!」

「さっすが明衣先輩!今日もツッコミ冴えてるッスね!」


巡は感心したように言う。

一方の明衣は疲れた表情で長く息を吐いた。

五月女はテレビを見た巡の言葉に対してなのか、渋面を作って呟く。

「でもさぁ、梅雨でジメジメしてるのに、結婚式なんかやだな」

「ロマンが無いッスねぇ!そんなんだと彼女に振られますよ」

「えっ、そんなぁ!」


巡の指摘に五月女は情けない声を上げた。

わいわいと騒ぐ部員の耳に、ノックの音と楡の冷たい声が聞こえるのは、少し先の話だ。








【愛してエスケープ!】


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