a☆u★c-G2-!
麻依は続ける。
「あれは私が付けたのよ。たぶん、二人は忘れてるだろうから。毎日忙しいし…」
「ふーん。え、何かすんの」
「花束くらいは買おうかな、って。本当は二人っきりでイチャイチャすれば良いんだけど」
「それ、言えてる」
「馴れ初めとか聞いてみたいのよね。話してくれるか微妙だけど」
「酔ってるときにでも聞いたら一発じゃん」
明衣は笑った。
そこで、ふと糸田姉弟の話が頭をよぎる。
好きでもない相手と結婚させられて、果たしてこのように結婚記念日を祝ってほしいと思うのだろうか。
子どもが生まれて、このように馴れ初めを聞かれたとして、どうやって答えるのだろうか。
(やっぱ好きな人と結婚したいよね…)
明衣は糸田の必死な様子を思い出し、一人ため息を吐いた。