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その日の晩、明衣は「やべ、マヨネーズ切らしてるから買ってきてよ」という麻衣の言葉により、夕暮れを通り越して薄暗くなり始めた道を一人とぼとぼと歩いていた。
(自分で買いに行けっつーのよ)
内心文句をたれながら「お釣りは持って帰ってきなさいよ」と渡された5百円玉を弄び、明衣はいつものスーパーに足を運ぶ。
自動ドアをくぐったその先に、見たことのある顔があった。
「あれ?」
野菜売場でうろうろと歩き回るその姿は、どこかで見たような、でも面識はないような。
活発そうなショートヘアー、くるりと可愛らしい大きな瞳。
じーっと見ていた明衣の視線に気が付いたのか、ふと彼女は顔を上げた。
ばちっ、と目が合い、明衣は思わず声を上げた。
「あっ、糸田くんのお姉さん!」
案の定、彼女は不思議そうに首を傾げ、「どこかで会った?」と明衣を見返した。