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控え室、早智は鏡に映る自分を見つめて、長い溜息を吐いた。


(龍之介…………)


綺麗に飾られた爪の所為で開くのに苦労した携帯電話の画面を見つめ、早智は込み上げる涙を堪える。

最近ろくに連絡も取ってない。

その時、バタンとドアを開けられて、早智は弾かれたように振り向いた。

そこには息を切らした真幸の姿がある。


「ねーちゃん、行くよ!」

「な、何?私はこれから結婚式が……」

「僕が本当の結婚式につれてってあげる!」


ぐい、と椅子に腰掛けたままの早智の手を引き、真幸は部屋を出ようと急ぐ。


「早く!見付かっちゃったらもとも子もないよ!」

「ちょっ、ちょっと真幸!」


重たいドレスの所為でうまく走れず、非難の声を上げる早智だったが、裏口から外に飛び出し、見えた車の助手席を視界にとらえると息を呑んだ。


「り、龍之介…………?」






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