a☆u★c-G2-!
「早智!」
龍之介は思わず車を降り、早智に抱き付いた。
早智も目を白黒させながらではあったが、やがてこれが現実だと認識したのか、ゆっくりと龍之介を抱き締め返す。
まさに感動の再会、というシーンだったが、明衣の切羽詰まった声で現実に引き戻される。
「ちょっと!早くしないとバレるわよ!」
「あっ、あなた……!」
早智は明衣の姿を確認すると、驚いたように目を丸める。
明衣は悪戯っぽく笑った。
「駈け落ちのお手伝い、請け負います!なんつって」
「………っ、…」
早智は車内のメンバーと真幸を交互に見て、堪えていた涙を溢れさせた。
そして、か細い声で「ありがとう」と繰り返したのだった。
《みなさんこんにちは!お昼休みはウキウキlistening!今週の特集は今大人気絶頂中の、Momokoさんです!》
突如、しんみりした空気を打ち壊すように、カーラジオの明るいBGMが鳴り響く。
空気が読めないのか、五月女が「桃子さんだ!」とボリュームを上げた。
《じゃあ早速一発目のオープニングは、ニューシングルの“愛してエスケープ”!》
テンションの高いナビゲーターの声のあとに、軽快なメロディーが車内に流れ始めた。