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真幸もスーツのままでは検問時に怪しまれることになるため、明衣達が着替え終わったあとに素早く私服に着替えた。
路地裏に付けるように車を止め、明衣は楡に手を引かれて降りる。
カーチェイスとは比べものにならない。何せ生身なのだ。
相手は金持ちだし、何を仕掛けてくるかわからない。
そんな不安が表情に現れていたのか、
「……気を付けて」
と、早智と龍之介の心配そうな目が刺さる。
明衣は不安を押し殺して笑った。
「それはこっちの台詞。……幸せになんなかったら、怒るからね!」
半ば捨て台詞のようなものを残し、明衣は走り出した。
「………ありがとう」
早智と龍之介の涙声は、聞かなかったことにした。