a☆u★c-G2-!



真幸もスーツのままでは検問時に怪しまれることになるため、明衣達が着替え終わったあとに素早く私服に着替えた。

路地裏に付けるように車を止め、明衣は楡に手を引かれて降りる。

カーチェイスとは比べものにならない。何せ生身なのだ。

相手は金持ちだし、何を仕掛けてくるかわからない。

そんな不安が表情に現れていたのか、


「……気を付けて」


と、早智と龍之介の心配そうな目が刺さる。

明衣は不安を押し殺して笑った。


「それはこっちの台詞。……幸せになんなかったら、怒るからね!」


半ば捨て台詞のようなものを残し、明衣は走り出した。


「………ありがとう」


早智と龍之介の涙声は、聞かなかったことにした。






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