a☆u★c-G2-!
明衣と楡は走る。
車を降りて数分、黒いスーツを着た屈強な男たちが二人を追いかけて走ってきたので、何だかドラマみたいだなと場違いなことを思う。
明衣は内心慣れないヒールに音を上げていた。
後ろの男たちが、スピーカーのようなものでこちらに呼び掛けてくる。
『そこの二人、止まれ!』
「止まれって言われて止まるわけないでしょーよ!」
ぜぇぜぇと息を吐きながら悪態を吐く明衣。
楡は面倒臭そうに溜息を吐き、狭い道を抜け、人通りの多い道に出た。
「これで少しは撒きやすくなったでしょ」
そう言いながらペースを落とし、後ろで疲れ果てている明衣に振り向く。
彼女は足を押さえて蹲り、泣きそうな声で言った。
「足、痛い………」
「………」
楡は屈んで、ドレスをめくって明衣の足を見た。
ヒールの高いパンプスの所為で、足が擦れて赤くなっている。
傷の具合を見ようとした楡だったが、追っ手の姿を発見したので舌打ちをして立ち上がった。
同じように立った明衣を一瞥し、楡は頭を掻いて、彼女の手を思い切り引いて、
「ちょ、ちょっと!?」
――抱き上げた。