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「な、ななななな何してんのよっ!!」

「卯月、足遅いから」


こうした方が早いだろ。

そのまま猛ダッシュといった感じで通りを駆け抜ける。

花嫁を抱き抱えて走る男の姿は、一際他人の目を引いた。

中にはカメラを構える者まで居る。


「め、目立ってるって、あたし達!」

「耳元で騒ぐな。…降ろすよ」


――何よこの恥ずかしいシチュエーション……!


明衣の顔は熱を持っていく。

ドキドキしてるのは、恥ずかしさのせいだと自分に言い聞かせて、楡にぎゅうぎゅうと腕を回した。


――楡はあたしの気持ちなんか、知らないんでしょ……


だから平気でこんなことをするんだ。


「……しまった…!」

「?」


切羽詰まったような楡の声に顔を上げると、そこは行き止まりだった。






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