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無事に駅に着いた一行は、改札口でチケットの受け渡しをしていた。
震える指先で、早智は真幸からチケットを受け取った。
「……どこ行きなの?」
封筒に入ったままのそれを見て、早智は尋ねる。真幸は恥ずかしそうに頬を掻いてから、苦笑気味に言った。
「北の方。これから暑くなるから…涼しい方に」
「さっすが、賢いッスね」
「ほんと、出来た弟だ」
巡と日野も嬉しそうに続く。
電車の時間が迫り、改札を告げるアナウンスが響いた。
「……じゃあ行くね」
「うん」
寂しげに目を伏せ、チケットを握り締める早智。真幸は小さく頷いた。
背を向けて歩き始めた龍之介と早智に、真幸は焦ったように声をかけた。
弾かれたように振り向く二人に、真幸は茶色い封筒を握らせる。
中身を察した早智が驚きの声を上げた。
「これ、あんたのバイト代…!!」
「良いんだ」
真幸は凜として言い放つ。
「僕にはこれくらいしか出来ないけど………」
――絶対幸せになって、落ち着いたら手紙ちょうだい。