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行き止まりに来てしまい、苦い顔をした二人は、バタバタと迫ってきた足音に振り向いた。

そこに居るのは黒いスーツの屈強な男達。もうこれなんてドラマ。


「さあ、諦めてお嬢様を放すんだ」


男の一人が言う。
その言葉に対し、楡が


「お嬢様って柄か?」


などと呟いたため、明衣は肘で思い切り彼の脇腹を突いた。
そして、男達に言う。


「ここまでされてもわかんないの?あんた達のお坊ちゃんはフラれたんだよ!」

「何だと!?」

「だいたいあたしは早智さんじゃないし。もう彼女は電車でエスケープよ」


明衣はベールを投げ捨てた。


「お嬢様をどこに!?」

「だからここにはもう居ないっての。本当の婚約者と駆け落ちしたのよ」


尚も食って掛かる男に、明衣はふんと鼻を鳴らした。

男達は、信じられないというように顔を蒼白にしている。






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