ノンフィクション

「30点」


 春の日差しはとても気持ちよく、つい時間がたつのも忘れてしまいそうになる。


 そんな日差しがこれっぽちもこぼれてこない、部室棟の端の端。学校の隅の隅に追いやられている、ここは、赤塚学園文芸部。


 ただいま、部員はたったの4名。


 随時募集中である。


「え~・・・面白いと思うのだけどなぁ~・・・。」


 そんな中、一人の女の子が、男の子に向かって、愚痴をこぼす。


 学校の制服に身を包んだ、ツインテールが特徴のクリクリした目がチャームポイントな、彼女の名前は「鏡根 未来」


 未来なんて名前は恥ずかしいが、本名だから仕方ない。


「いや・・・今時ないだろう?世界の運命と姫への愛とか・・・最早古典だぞ。」


 それに答えるのは、我らが文芸部部長様、「斉藤 希望」さま。


 こいつは、こいつで希望などとたいそうな名前がついているが、もろに名前負けしていることは言わずもかな・・・だ。


 メガネに釣り目に、デコッパチ。


 一応、そのクールさが素敵~などとほざく娘っ子どももおるが・・・それは、ない。


「古典を馬鹿にするな!かの名作、ロミオとジュリエットがなければ、今の恋愛小説は、このような発展を遂げていなかったはずなのだ。金色夜叉の名演・・・あぁ~、やっぱり守様は、何をやらしても、ス・テ・キ☆」


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