ノンフィクション

「はぁ、お姉ちゃん。家はそれほどお金がないのだから、外で飲むときはほどほどにしてよって、いつも言ってるでしょ?」


 アパート暮らしの私たちの家は大きくない。


 部屋を出れば、すぐに玄関だ。


 ため息混じりに姉を出迎えて、とりあえず、お水ぐらいは用意するか・・・。


「すごいのよ!未来、とにかくすごいの!未来!!」


 しかし、驚いたことに私のお姉さまの顔はまったくの素面だった。


 あれ?


 てか、なんで素面なのに、そんなハイテンション?


 新しい男でも出来た?


「・・・どう・・・したの?」


 とりあえず、質問してみる。


「フッフフフ・・・ジャジャ~ン!!未来、これを見なさい!」


 ハイテンションで、姉貴が私に見せたのは、真っ黒い・・・水晶の欠片。


「・・・・・・・・それが、どうかしたでしょうか?」


 黒水晶を見せられても、私には価値が分からない。


 確かに、原石でありながらこれだけ綺麗な水晶も珍しいとは思う。


 研磨しなくても、向こう側が見えるぐらい、透き通っているなんて・・・


 いや、っていうか、これもう研磨されていないか?


 なんだか、形も整っているし・・・。


 もしかして・・・


< 5 / 12 >

この作品をシェア

pagetop