ノンフィクション
同時刻・・・
夜の学校・・・その屋上にて・・・
「世界~どうして、この世界はこんなにくさいの?」
一人の男が、踊っていた。
ステップも、足取りもめちゃくちゃでとても、踊りとはいえないぐらい、見苦しいものだったが、男の容姿が余りにも美しく、吸い込まれそうな、瞳をしているため、その姿はさながら、天使の舞のようにも思えた。
「腐っているからよ。」
男の質問に答えるのは、一人の女性。
漆黒の髪を方まで伸ばし、釣りあがった瞳をして闇をも飲み込んでしまいそうな、妖艶な美しさを持っている女性の手には、スケッチブックが握られていた。
目の前に、この世のものとは思えない美しい男性が、踊っているにもかかわらず、「世界」と呼ばれた女性の目はスケッチブックから動こうとしない。
「ふ~ん・・・どうして、この世界は腐っているの?」
男は、そんな素っ気無い女性の態度に対してさらに質問を返す。
「過去がないからよ。」
女はその質問に対しアッサリと答える。