ワケアリ夫婦っ!!
「私が行きましょうか」
「いや、いい。すぐ来るから」
「了解しました」
この前と同様、中津の運転で夏紀のマンションまで来た俺は。
代わりに行こうとする中津を制して車から降りる。
ちゃんと自分の目で夏紀のけじめが見たいから。
「じゃあ、ここで待ってて」
「おぅ」
マンションの入り口で夏紀に言われたとおり、俺は近くの電柱に寄りかかる。
「あ………雨じゃない?」
「ん? ……ほんとだ」
通り雨だろうか、ポツポツと雨が降り始める。
「濡れちゃうから、せめてマンションの入り口んとこにいなよ」
と言って、すぐそこの入り口と自動ドアの間にあるスペースを指差す。
そこなら密室というわけではないので、夏紀と2人きりになる危険性はない。
どうせすぐ帰るんだし。
「ん、そうするわ」
もう夏紀になんの疑いも持ってない俺は、軽率にも……夏紀と肩を並べてマンションの自動ドアをくぐってしまった。
まさかこの時に写真をとられてたなんて……夏紀にはめられてたなんて思いもせずに……。