ワケアリ夫婦っ!!
「レシートのお返しです。ありがとうございました」
いつもレジにいる、化粧が濃いけどとても優しい雰囲気のした、パートのおばさんからレシートを貰って、財布にしまった。
結局、買ったのはスパゲティの材料と、春先で今が旬のイチゴ。
赤くておいしそうだったから、ついつい買ってしまった。
……日向はイチゴ食べるかな?
一人じゃ、こんなに食べれないかも。
雲行きがあやしくなってきた空の下を、あたしはゆっくりとした足取りで歩く。
まだいまいち、意識がはっきりしなくて。
現実味がないっていうか……。
この時のあたしは、かなりボーっとしていて。
家までの道をいつもの二倍の時間をかけて帰った。
マンションに入ると、部屋の壁の前に、誰か、男の人が寄りかかっているのが見える。
「…………日向?」
にしては、ちょっと背が低いかな?
帽子を深くかぶっているけど、よく見たら横顔も日向とはちがう。
あたしは、その人のそばへとゆっくり近づいていった。
「………南…さん?」
「……奈央ちゃん。久しぶり」
そこに立っていたのは、二週間ぶりに会う南さんだった。