ワケアリ夫婦っ!!







「それは、どういう………」





「あの日は、今放送している藍川さんとのドラマの最終収録日だったんですよ。でも、あたしのマネージャーが用事でどうしても送り迎えできなくて」






………?






あたしの頭の中はハテナでいっぱい。






「だから、藍川さんのマネージャーさんに送ってもらったんです。藍川さんのマンションの通り道だったんで」






「それで、どうして藍川さんが、夏紀さんのマンションに?」







「あたしのマンション、駐車場からマンションの入り口まで遠いんです。もう遅い時間だったので、藍川さんが心配してくれて、マンションの入り口まで送ってくださって。本当、気遣いができて素敵な方ですよね」






「でも、あの写真はマンションに入ろうとしてたじゃないですか?」






記者の人もなかなか食い下がらず、鋭い質問をする。





「でも、入る前でしたよね?たぶん、あの写真を撮られてからすぐに、あそこで藍川さんとお別れしたはずです」





「じゃあ、藍川さんとの熱愛関係っていうのは?」





そう言ったのは別の記者。






「それはないですね。キッパリ否定です。藍川さんは、優しくて素敵な人なんで、あたしなんて全然釣り合わないですよ」






そう苦笑して言った夏紀さんは。






「藍川さんには、あたしみたいな人より、真っ直ぐでバカみたいに一生懸命な子のほうが似合いますよ」






屈託のない笑顔で最後にそう言った。






なんだか、それはあたしへの言葉のような気がした。









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