ワケアリ夫婦っ!!
「あの……お話って」
少しピリピリモードの中津さんによって、さっさとお仕事へ行かされた日向。
相変わらず正座のままで、中津さんの前にいるあたし。
この状況……息苦しすぎる。
「夏紀さんの件については、あなたに全て非があるというわけではありません」
やっぱり、お説教か……。
そう思いながらも、あたしは再び中津さんの高い身長を見上げる。
「夏紀さんのとった行動も異常なものでしたし、日向にももう少し考えて行動しなければならないところはありました。だから、あなただけを責めるつもりはありません」
「は、はい……」
あれ? やっぱりお説教じゃないのかな。なんて思って少し油断した時。
「しかしです!」
「はっ、はい!」
不意をついて中津さんが声を張った。
「話によると、夏紀さんがあなたと日向さんの関係を確信した原因は、二人で一緒にいるところを見られたからじゃないそうですか」
ギクリッ。
首筋を、冷や汗が流れるのを感じる。
そのことは、中津さんに伝えたら絶対怒られそうなので、日向と一緒に言わないでおこうと決めたはずなのに……。
どうして、彼は知っているんだろう。
そんなあたしの考えを見透かしたように、中津さんは口を開いた。
「ちなみにこのことは南さんにお聞きしました。どうやら日向さんと親しい彼も事情を知ってるようだったので」
しまった。
南さんに口止めしとけば良かったなんて思っていると。
「詳しい内容は日向さんに口止めされていたみたいですけど。菓子折りを持ってお伺いしたら、快く教えてくれましたよ」
「………」
もう、中津さんには全部事情が行き渡ってるみたいだし……。
そう思ったあたしは、あきらめて中津さんのお説教を受け入れることにした。