ワケアリ夫婦っ!!
「私は前から言っていたはずです。あれほど危機感を持てと」
「うぅ……はい」
「その時はなんでもないことでも。誰にも見られてないと思っても。そのたった少しの言動が命取りになってしまうんですよ」
中津さんの低いその声が、あたしの胸にズシンと響く。
「いいですか?あなたのせいで、日向さんの仕事に悪い影響が出てしまっても」
「………嫌です」
「はぁ。あなたが一番そばで日向さんを応援してあげなければいけない立場だっていうのに」
もはや返す言葉もない。確かに、中津さんの言う通りだから。
あたしは、日向の芸能人という仕事をもっと軽く見ていたのかもしれない。
今回みたいに、たった少しの出来事が、とても大きな騒ぎになってしまうことだってあるのに……。
「とにかく、日向さんがあなたを認めても。私は絶対認めませんから」
「……………」
「あなたとの結婚は、日向さんに害をもたらすだけだ」
最後に冷たくそう言った中津さんは「失礼します」と頭を下げると、そのまま部屋を出ていってしまった。