ワケアリ夫婦っ!!

「やっぱ夜中だから誰もいねーなぁ」
しばらく歩いてたどり着いた公園は、チカチカと一本の電灯が光っていて、なぜか少し寂しげに見えた。
「当たり前じゃん。こんな時間に誰も来ないよ〜」
「まぁ、こういうところに二人きりっていうのも、なんかもえない?」
「もえない!! あたし、ブランコ乗るっ」
あきらかにエッチなことを考えている日向を交わして、あたしはブランコに向かって走った。
「ちぇ〜」
唇を尖らせていじける日向に。
「日向、押してっ」
と言うと。
「仕方ねぇなぁ。落ちんなよ!!」
ニッと歯を見せながら笑って、ブランコに乗るあたしの背中を押し始めた。
「ぷはぁ〜」
春が近づく冷たい夜風が、ほっぺをスウッと撫でていって、心地がいい。
「日向〜」
まだ日向に背中を押されたまま、あたしは静かに口を開いた。
「ん?」
「あたし、日向が好きだよ?」
「俺も奈央のこと好き」
「………大好き」
「奈央……急にどした?」
ブランコを止めて、日向を見つめたあたし。
日向は首を傾げながら、優しい目をしている。
「何か………あるんだよね?」
「……………」
あたしがそう言うと、日向は口を開かなくなった。
……なんとなく気づいてたの。公園いこって言われたときに。
「奈央にはなんでもわかるんだね」
と日向は眉尻を下げて笑った。
「寂しそうな目してたから……」
なにか話したいことがあったから、こんな夜中にココまで連れてきたんだよね?
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