ワケアリ夫婦っ!!

「日向……仕事?」
「あー、ちょっと出てくる。待てる?」
「分かった。ご飯作ってるね?」
「おぅっ」
風呂から上がって出かける格好をした俺に、不思議そうに聞いた奈央。
顔はまだほんのり赤くて、ドライヤーをかけながらサラサラの髪をといている。
「じゃあ、行ってくるな」
「うんっ」
そんな奈央の頭に、ポンッと手をのせるとニコッとはにかんで手を振った。
俺、ちゃんとお前の……いや、俺のけじめつけてくっから。
そう思って玄関を出ると、エレベーターで下に降りて、駐車場にある俺の車の元へと向かった。
正直この車に乗るのも久しぶり。
しばらく乗ってないだけあって、タイヤが少し汚れていたが、俺は気にせずに乗り込む。
軽快なエンジン音をかけて、俺が向かうのは………。

「どうしたんですか、こんな時間に? 日向さんから来るなんて、珍しいですね」
俺が車に乗って来たのは、少し離れた場所にある中津のマンションだった。
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