ワケアリ夫婦っ!!
「あぁ、ちょっとな。上がっていい?」
「………どうぞ」
普段からプライベートを知られるのが嫌いな中津。
少し間を開けてから、俺を中へと入れた。
本当は、仕事以外で中津に頼るのは申し訳ないが……今回ばかりは、頭を下げてでも頼みたいことだった。
「少々散らかっていますが」
中津の後をついていって、広いリビングに通される。
「……中津、ここで暮らしてんの?」
「そうですが。何か?」
「いや………」
散らかっているどころか、生活感も不要なものも何もない部屋。
家具は、テレビやテーブルなど必要最低限のものしかなく、床はほこり一つないようなキレイさ。
家の場所は知っていたものの、初めて入る中津の家に俺は少し驚く。
「で、お話とは」
テーブルにお茶を置いた中津は、そのまま近くに腰を下ろした。
俺は一度咳払いをして、話始める。
………奈央に、もうこんな風な辛い想いを、させたくはないから。
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