ワケアリ夫婦っ!!
「まるで、変わったものでも見るかのような目をしていますね」
少し嫌みな風にそう言ってため息をつく彼は、やはり中津さんだった。
もちろん、いつもしている黒ブチの眼鏡もなく、着ているものもスーツではなく私服だ。
「ほら見ろ、やっぱりそうしてると中津若く見えるんだよ」
「……言っておきますけど、こんな格好今日だけですからね」
ハッとして、中津さんの隣に立っている日向を見上げる。
「なっ、何? どういうこと……?」
「理由は車の中で説明すっから。とりあえず、行くぞ」
「へっ……!?」
訳も分からぬまま、あたしは日向に捕まれ部屋から出される。

「どこか出かけるの?あ、あたしお風呂上がりで髪ボサボサだし……下スウェットだし……」
マンションの下に降りると、そのまますぐ入り口に止まっている中津さんの車へと乗せられた。
運転席に中津さん、助手席に日向。
その後ろの座席にあたしという順番で。
「大丈夫大丈夫。奈央はどんな格好でも可愛いから!」
後ろを振り返って、ニコッとそう言う日向。
「っ……///そういう問題じゃなくてっ」
「奈央さん、うるさいです」
「あ、ごめんなさい……」
運転しながらあたしに注意した彼は、やっぱりいつもと違う格好のせいか中津さんに見えない。
注意されて、少しシュンとするあたしを見て、日向が優しく微笑む。
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