ワケアリ夫婦っ!!
「大丈夫。中津は奈央と俺の味方だから。……今から話すこと、聞いてくれるか?」
落ち着いた声でそういう日向に、あたしはゆっくりと頷いた。
でも……この時点でなんとなくは分かっていたんだ。
向かっているのは………あたしのバイト先だって。

しばらくして、あたしは中津さんと二人でバイト先へと向かう細道を歩いていた。
「……足元、暗いので気をつけて下さい」
「………はい」
車の中で日向に聞かされた、今からすること。
それは、日向の代わりに中津さんがあたしの彼氏役となって、煌星の元へ行くということだった。
日向には、煌星は悪くないとは言ったけれど。
やっぱり、納得はしてもらえなかったみたいで。
本当は日向が直接、煌星に話をつけに行こうとしてたらしい。
だけど、有名人の日向が、あたしのためにわざわざ煌星の元へ出向いたのであっては、また夏紀さんの時のように、大事になってしまう可能性がある。
そんなの、自分からこのヒミツの関係をバラしてしまうようなものだ。
そこで出たのが、中津さんだった。
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