ワケアリ夫婦っ!!

｢ど、どうして………？｣
｢奈央さん、勘違いしてませんか？｣
｢え………？｣
ゆっくりと振り返ってあたしの元へ足を運ぶ中津さん。
｢奈央さんが辛い想いしてると思ったから、日向さんはここまでしてくれている｣
鋭い目を細めた彼は、一瞬。
見逃してしまうほどのほんの一瞬。
とても悲しそうな顔を見せた。
｢……分かりませんか、日向さんもあなたと同じく。ものすごく辛い想いをしていることに｣
｢………ッ｣
ドクリと心臓が揺れて、あたしはギュッと拳を握った。
………そうだ。
…………そうだよ。
ここで、ちゃんと煌星とのことに向き合わなきゃ。
このままになんて、してちゃいけないんだ。
辛い想いをしているのは………あたしだけじゃない。
そう思うと同時に、日向の優しい笑顔が浮かぶ。
どうして………どうしてもっと早く気づけなかったんだろう。
本当は辛いくせに無理矢理笑う、日向のぎこちない笑顔に。