ワケアリ夫婦っ!!
なんとかしなきゃっ……。
このまま言い合う二人を見てるだけじゃ……何も変わらない。
あたしが……日向も、中津さんも、みんな守らなきゃいけないんだ。
その時だった。
ジリジリと中津さんに近寄った煌星が、中津さんの胸ぐらを掴む。
ダメ………ダメだよ……。
「やめて…ッッ!」
気づいた時にあたしが突き飛ばしたのは………中津さんだった。
力いっぱい押したつもりだったが、やっぱりそう簡単に男の人を退かすことはできず。
中津さんは少しよろめいて後退したことで、煌星の胸ぐらを掴む手から解放される。
「奈央さんッ……!」
少し驚きながらもあたしを呼ぶ中津さんの声を無視して、あたしは煌星の手をとった。
「殴るなら、あたしにして」
「………今井」
「悪いのは、あたしだから。もう、これ以上あたしの大切な人を傷つけないで……っ」
「今井……離せって」
無意識のうちに、ポロポロと涙がこぼれ落ちてくる。
それでもあたしは煌星の手を離そうとはしなかった。
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