ワケアリ夫婦っ!!

｢………今井｣
｢……うん、何？｣
ようやく、煌星はあたしの掴んでいる手を下ろす。
それを見て、あたしはゆっくりと煌星から手を離す。
｢今井のいう通り、俺は人と関わることが苦手だ｣
｢………うん｣
｢だから、周りのみんなみたいに、俺のこと怖がったりしない今井が好きだった……｣
｢………うん……っ｣
いつも、どこかクールな煌星が、今は弱々しく見える。
｢昨日は……悪かった｣
｢………うぅん｣
｢アンタも、悪かったな。……本当の彼氏じゃねぇんだろ｣
想いもしなかった、煌星のその一言にあたしは少し驚く。
だけど、隣にいる中津さんは相変わらず無表情のままだ。
｢バレていましたか｣
｢……人間はホントに焦ったとき、素に戻るもんだぜ｣
その言葉を聞いて、あたしが中津さんを突き飛ばして煌星の前に立ったとき。
思わず中津さんがあたしのことを"奈央"じゃなくて、奈央さんと呼んだのを思い出した。