ワケアリ夫婦っ!!
「中津、サンキューな」
「ほんと、こんなことはこれ限りにしてほしいです。では」
あたしたちは中津さんの車に乗って、マンションまで帰ってきた。
嫌みっぽくそう言いながらも、なんだか中津さんの表情は柔らかく見えた。
「………ありがとうございました」
日向とあたしの部屋の前に着いて、去っていく中津さんの背中に、あたしはもう一度頭を下げた。
鍵を開けて、部屋の中へ入る。
あたしが先に入って、後ろにいる日向がガチャリと鍵をかけた途端。
ギュッとあたしの肩に回された日向の腕。
「日向………」
「ん、もうちょっと……このまま」
まるで、あたしの存在を確かめるように、強く、強くあたしを抱き締める。
「………聞かないの?」
「何を?」
「……どうだったか」
あの後、中津さんの車で帰る時も、日向はどうだったのか聞いてこなかった。
あたしは、絶対聞かれると思っていただけに、少し拍子抜けしていた。