ワケアリ夫婦っ!!
「なんか、さっきから暗い顔してるけど……具合悪い?」
「へっ……、ちっ、ちがうよ〜。ちょっと朝早かったからさ。眠かっただけ」
心配そうにあたしの顔をのぞきこむ瑠依くん。
ふわりと、せっけんのような香水の香りが鼻をくすぐる。
「ならよかった♪俺ね、新幹線の席順、奈央ちゃんの隣だからちょっと楽しみにしてたんだーぁ」
「えっ?」
「だって同じクラスなのにさ、あんまり話したことなかったし!!」
「そういえば……」
瑠依くんとっていうか……クラスの男の子とは、あまり話したことないかも。
「奈央ちゃんかわいーしっ。クジで決まったけど、俺ラッキーだなっ♪」
そう言ってくしゃっと笑う瑠依くん。
キュン………。
ごめん日向……この笑顔には、不覚にもキュンってしちゃうよ。
瑠依くんとの会話のおかげで、つまらないと思ってた新幹線での移動は、意外にも楽しく過ぎた。