ワケアリ夫婦っ!!
「ママとね、ごちそう作ったんだ! 早く食べよ!」
「そうか、着替えたらすぐ行くから。奈央は先に行ってなさい」
「……うん、わかった」
相変わらず口数は少ないけれど、やっぱりいいなぁ。
こうして、パパやママと久しぶりに会うのは。
午後七時。
ようやく今井家の三人がそろって、ごちそうの並んだテーブルを囲む。
「それでは、奈央の無事帰還を祝って〜、カンパーイ!」
「「…………」」
無事帰還……?
あたしは戦場にでも行っていたのだろうか……。
ママの意味不な発言につっこむこともなく、とりあえずリンゴジュースのはいったグラスを傾ける。
ビールを片手に黙々とおかずをつまむパパに、あたしは何か話題はないかと頭をひねる。
話したいことは、たくさんあったはずなのに、なかなか口からは出てこなくて……。
この微妙な沈黙がむずがゆい。
「……やぁね、お葬式じゃないんだし。親子なんだからもう少し会話でもしたら?」
そこに出る、ママの助け船。
「あぁ……そうだな」
頷いてはいるものの、それから結局パパがあたしに話しかけてくることはなかった。
親子三人、黙ったままご飯を食べて、久しぶりに羽を休めに実家に帰ってきたのに……これじゃあ、全然気が休まらないよ……。
そう思いながらも、あたしは食べ終わった食器をママと片付けるのだった。