ワケアリ夫婦っ!!






「奈央、タオル置いとくよ〜」





「うん」





片付けも終えて、お風呂に入ることにしたあたし。





脱衣場のほうで、タオルを置きにきたママの影がゆらゆらと動いている。




「……気持ちいいなぁ」




少し熱めのお湯に浸かって、そう呟いてみるけど………。





こうやって一人になると考えちゃう。




日向のこと。




まだ、離れてから一週間くらいしか経っていないのに……あたし、もう寂しくなっちゃってる。




逢いたい……。




日向に、逢いたい……。





頑張ってる日向には決して言えないその気持ちを、あたしは胸の奥にギュッと閉じ込めた。




「………ダ、ダメだっ。上がろ」




少し長く浸かりすぎて熱くなった頬に手をあてて、あたしは湯船から上がる。




さっきママが用意してくれたタオルで、ほてった身体を包んだ。




家から持ってきたスウェットに着替えて、棚の上に置いた携帯へ手を伸ばす。





「………あれ?」




するとそこには受信メール一件の文字。




日向からメールなんてめったにないと思いつつも、少し期待して受信ボックスを開いた。





………でも、それはただのメルマガで。




「……バカ………だなぁ」




そうガックリと肩を落としながらも苦笑した。




日向は、向こうで頑張ってるのに……。




あたし……こんなんで、ダメダメじゃん。





やっぱり、気休めのために実家に来たって、何してたって。




あたしは頭から日向のことを離すことなんてできないんだ。




ママ……やっぱり、あたしは日向にベッタリみたい。







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