ワケアリ夫婦っ!!






「偶然だね、買い物か何かの帰り?」





あたしの持っているビニール袋を見て、そうたずねる。





「あ、うん。コンビニ行ってきたの。瑠依くんは?」





「そっかぁ。俺は友達んちの帰りだよ。そしたら、奈央ちゃんっぽい子見つけたからさ」




実際、瑠依くんとこうやってちゃんと話すのは修学旅行のあの日以来。





同じクラスだから、話す機会は何度かあったのだけれど。





必ず隣に誰か友達がいたり、時間がなかったりして、こういう風に一対一で話はできなかった。





………今なら言える。




本当はずっと言いたかった、瑠依くんへの感謝を。




「あのね……瑠依くん」





「仲直り………できたみたいだね」




「…………え?」




意外にも、その話題を振ってきたのは瑠依くんのほうだった。




「あれ? ちがう?」




「ううん、違わないけど……なんで、分かるの?」




確かにあの時は、瑠依くんが背中を押してくれたおかげで日向と仲直りすることができた。




それでも、仲直りできたよ。なんて結果を報告することもどうかと思い、瑠依くんには伝えてなかったのだ。







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