ワケアリ夫婦っ!!





「言っとくけど。俺があの日ラブホに連れてった奈央ちゃんを、襲いもしないで。むしろ、違う男のとこに行かせたのは」





急に細めていた目を真剣に開いて、あたしを見る瑠依くん。





「好きだからでも、自分の株を上げたいからでもなくて。奈央ちゃんに、幸せになってほしいって思ったからだよ」





「………瑠依……くん」





その言葉に、あたしは泣きそうになってしまった。





ありがとう、なんて言葉じゃ足りない。




優しい、なんて言葉じゃ足りない。






「これからも……仲良くしてね」





………大切な友達として。





そう言うのが、精一杯だった。





えへへと笑うあたしを見て、いつもの人懐っこい笑顔で笑う瑠依くん。





「もちろん♪」





こうして、また一人とあたしの大切な人が増えていった。






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