ワケアリ夫婦っ!!
【番外編】偶然は運命
「もしかして……モデルの藍川日向!?」
「………そうだけど」
「キャーッ!! まじで! 握手して下さい!」
そう言って、興奮したようにはしゃぎまくる女達は、俺に手を差し出す。
………また、か。
内心そう思いながらも、俺は屈託のない笑みを浮かべて、その手を軽く握った。
「キャーッ! あたしもう一生手洗わない!」
「ちょっとミサ、それはヤバいっしょ〜」
ギャハハと笑いながらも、すごく嬉しそうに表情を浮かべている。
……そんなに嬉しいのだろうか。
俺なんて、たまーに雑誌に出してもらってるくらいの、ただの三流モデルなのに。
「じゃあ、これからもよろしくね」
「はい! 雑誌買いますっ」
「ありがとう、じゃあね」
楽しくもないのに、にっこりと笑って彼女達と別れる。
そして俺は、またあてもなくフラフラと歩き出した。