ワケアリ夫婦っ!!
「へぇ〜、ずいぶんなお人好しちゃんだね」
「その子が?」
「その子もお前もだよ、日向」
親友の和也にそう言われて、俺は読んでいた雑誌を閉じた。
今日はバイトが休みで、和也の家に来ている。
「……うるせーよ」
「お、なんか珍しく考え事してる顔」
「珍しくってなんだよ……」
「最近いっつも、つまんなそうな顔してるから」
………つまんなそう、か。
和也に言われた言葉をくりかえしながら、俺は近くにあったクッションを軽く蹴飛ばした。
「機嫌わっる〜」
「別に」
彼女と出逢ったあの日から、一週間が経った。
別に、気になるわけじゃないけど……なぜかいいようのないモヤモヤが、心のどこかに引っ掛かっている。
………不思議だ。
特別、ものすごく可愛いと思ったわけじゃない。
性格も、歳も、名前すら知らないんだ。
だからって、彼女のことをもっと知りたいかと聞かれると、答えはノーだ。
だけど……もう一度。
もう一度だけ、彼女に逢いたい。