ワケアリ夫婦っ!!





「へぇ〜、ずいぶんなお人好しちゃんだね」



「その子が?」



「その子もお前もだよ、日向」



親友の和也にそう言われて、俺は読んでいた雑誌を閉じた。



今日はバイトが休みで、和也の家に来ている。



「……うるせーよ」



「お、なんか珍しく考え事してる顔」




「珍しくってなんだよ……」



「最近いっつも、つまんなそうな顔してるから」




………つまんなそう、か。



和也に言われた言葉をくりかえしながら、俺は近くにあったクッションを軽く蹴飛ばした。



「機嫌わっる〜」



「別に」





彼女と出逢ったあの日から、一週間が経った。


別に、気になるわけじゃないけど……なぜかいいようのないモヤモヤが、心のどこかに引っ掛かっている。




………不思議だ。



特別、ものすごく可愛いと思ったわけじゃない。



性格も、歳も、名前すら知らないんだ。




だからって、彼女のことをもっと知りたいかと聞かれると、答えはノーだ。





だけど……もう一度。






もう一度だけ、彼女に逢いたい。








< 379 / 384 >

この作品をシェア

pagetop