ワケアリ夫婦っ!!





「もうちょっと素直になればいいのに」



「なにが?」



「お前はその子のこと、気になってんだよ」




「そんなわけ……」




「そうやってまた逃げる」




和也のいつになく真剣な言葉に、俺は伏せていた顔をあげた。



「いつだって日向は逃げてばっかりだよ。その子のことも、ただの偶然で片付けようとしてる。自分の気持ちを認めたくないから」




その言葉に、俺は思わず固まった。




「仕事だって、自分はしょせん三流モデルだからとかで、本気で頑張ってみようとも思ってねぇ。もっと本気で挑戦してみろよ、そんな中途半端でいいのかよ」



「……………」



「そろそろさ、逃げねぇでちゃんとしなきゃなんねぇんじゃね?」



まさか、普段からチャラチャラしてる和也に説教されるなんて。




なんだか拍子抜けしてしまった俺を見て、和也はニッと笑った。





「……なんてな♪」




「なんだよ、それ……」




でも……和也の言ってることは、確かに正しくて。




「………さんきゅ」



「え、なに?」



「なんもねぇよ。そろそろ、帰るわ」




ちゃんと、自分の気持ちに気付かされた気がする。







< 380 / 384 >

この作品をシェア

pagetop