ワケアリ夫婦っ!!
「もうちょっと素直になればいいのに」
「なにが?」
「お前はその子のこと、気になってんだよ」
「そんなわけ……」
「そうやってまた逃げる」
和也のいつになく真剣な言葉に、俺は伏せていた顔をあげた。
「いつだって日向は逃げてばっかりだよ。その子のことも、ただの偶然で片付けようとしてる。自分の気持ちを認めたくないから」
その言葉に、俺は思わず固まった。
「仕事だって、自分はしょせん三流モデルだからとかで、本気で頑張ってみようとも思ってねぇ。もっと本気で挑戦してみろよ、そんな中途半端でいいのかよ」
「……………」
「そろそろさ、逃げねぇでちゃんとしなきゃなんねぇんじゃね?」
まさか、普段からチャラチャラしてる和也に説教されるなんて。
なんだか拍子抜けしてしまった俺を見て、和也はニッと笑った。
「……なんてな♪」
「なんだよ、それ……」
でも……和也の言ってることは、確かに正しくて。
「………さんきゅ」
「え、なに?」
「なんもねぇよ。そろそろ、帰るわ」
ちゃんと、自分の気持ちに気付かされた気がする。