ワケアリ夫婦っ!!





「あの……あなたは、毎日ここに来てるんですか?」



驚いた顔を変えずに、不思議そうにそう聞く彼女。



「ううん、毎日じゃないよ。今日は……偶然」



そう、偶然。


なんとなくだけど、今日ここに来たら君に逢える気がしたから。




「君は? 毎日ここに来るの?」



「ううん……。この時間にここに来たのは、この前をいれて二回目」



「そっか……でも、なんでこんな時間に出歩いてるの? この前も思ったんだけど」



夜に一人で女の子が出歩くなんて、怖くないんだろうか。




「この前は、友達の家の帰りで。今日は……」





「………今日は?」




「……なんだか、ここに来たらまたあなたに逢える気がしたから」





彼女の言葉を聞いて、俺は思い出した。




『偶然が二回重なったら、それは運命なんだって』




もし、俺がここに来るのが昨日だったら、彼女に逢うことはできなかった。



もし彼女が、明日ここへ来ていたなら、きっと俺たちは逢うことはできなかった。



………偶然。





俺たちが再び逢えたのは、俺も彼女も偶然今日を選んだから。







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