ワケアリ夫婦っ!!
次に遅くなったのは、直接夏紀の彼氏を説得することになった日。
この日もドラマの撮影があったから、撮影が終わったら夏紀のマンションに同棲してるという彼氏に説得しにいく予定だった。
この日、ドラマの撮影が終わったのは八時で。
いつもよりちょっと遅めだった。
「じゃあ、藍川さん。お願いします………」
スタジオから出て、そうぺこりと頭を下げた夏紀。
律儀にここまでする奴に、俺はなんの疑いも持たなかった。
中津に事情を説明した俺は、中津の車で、夏紀と一緒にマンションまで送ってもらう。
「さんきゅ」
「ありがとうございました」
夏紀のマンションに到着すると、外にある駐車場に車を止めて夏紀と一緒に降りる。
「じゃあ日向さん、私はここで待機しているので。万が一、何かあったらすぐに切り上げてきてください」
「了解」