ワケアリ夫婦っ!!
ガチャン。
先に俺、後ろから夏紀が入って扉は静かに閉まった。
そこで、さすがの俺でも不思議に思った。
静かすぎる……。
人がいる物音どころか、電気すらついていない。
しかも、玄関に男物の靴がない……?
あるのは、恐らく夏紀のものと思われる女物のパンプスやブーツばかり。
……どういうことだ?
「………ふふっ」
「…………夏紀?」
俺の後ろで不気味に笑ったのは、夏紀だった。
下を向きながら笑ってた夏紀は顔を上げて俺を見る。
いつもの綺麗な目とは違う目だった。
「本当に日向くんってお人好しだよね〜」
「は?」
「あんなあたしの演技にも、コロッと騙されちゃってさ。雑誌に書いてたけど、女の子の涙に弱いんだよね?」
そう言った夏紀は笑顔だった。
「ちょ、意味わかんねぇんだけ………」