ワケアリ夫婦っ!!
けど、全くひるむ様子のない夏紀。
むしろますます笑顔になる。
「大丈夫。日向くんが、あたしの言うこと聞いてくれるなら、奈央ちゃんには危害は加えないから」
俺が夏紀の言うことを聞くのが、奈央に手を出さない条件。
ってことかよ………。
夏紀の言いなりなんて、ぜってぇ嫌だ。
けど、もし逆らったら奈央は傷つくことになる。
高校を休ませるわけにもいかねぇしさすがに俺が奈央の高校まで行って、守るわけにもいかねぇ。
「俺の選択肢は一つってことかよ………」
「とりあえず、連絡先交換しよっか」
俺はそう言って微笑む夏紀の足元に、自分の携帯を投げつけて頭をくしゃくしゃにした。
………ごめんな、奈央。
俺、お前を傷つけないためにどうしたらいいかわかんねぇんだ。
お前を守る手段は、こうするしかなかった。
この日も明かりを付けて待ってた奈央に、俺はまた嘘の仮面でなんでもないと嘘をついたんだ。