幕末怪異聞録
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「――ん?」
ゆっくりとまぶたを開けた時雨は、重たい頭と強烈な気だるさに身を包んで起き上がった。
「あ!時雨目を覚ましたんだ!」
「うわー!!時雨え!すげえ心配したんだぞ!?」
入り口には水を張った桶を持っている沖田と、嬉しそうに尻尾を振る狼牙。
嬉しさの余り二人は大きな声を上げたため、隣の部屋から土方が出てきた。
「なんだ、時雨目ぇ覚めたのか。」
「そうなんですよ♪
時雨、三日も眠ってたから心配したんだよ!」
そんな嬉しそうにする三人に時雨はピシャリと言い放った。
「――るせえな……。
でけぇ声出してんじゃねえよ…。」
静かに言った割に時雨の声はよく響き、辺りは水を打ったように静かになった。
(うわぁ…。寝起き悪ー…。)
と皆が思ったのは言うまでもない。