幕末怪異聞録




「―――美味しかった~!」


満足そうに手を合わせて「御馳走様。」と言う時雨。


「よかったね、時雨。
すごい幸せそうに食べるんだね。」


「それは総司も同じだろうが。」


聞いていた原田が口を出した。

実際、沖田の前には空いた皿がたくさんあった。


「だって僕も甘味好きだし。
まあ左之さんは花より団子より女だもんね?」


「はぁ?」


意味分からんと言わんばかりに片眉を上げる原田に沖田は笑顔を向けた。


「ずっと時雨のこと見てるもんね?」


「何言ってんだよ!!」


少し頬を赤らめる原田を見た時雨は原田の袖を引っ張った。


「私は左之が好きだぞ?」


「は、はぁ!?」


慌てふためく原田に吹き出した時雨は悪戯な笑みを浮かべた。


「冗談だよ。阿呆。」


「もう何なんだよ!」


からかわれた原田はふてくされたように茶を啜った。


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