幕末怪異聞録
「灰鐘さん!!」
突然走り出した灰鐘の後を沖田、藤堂、永倉、原田はついて行った。
「あやかしは夜に活動をするんじゃが、今日は曇っておる。
どうやら動き出したようじや。」
突然のことに全くついていけない一同だが、只ならぬ灰鐘の様子に押し黙っていた。
「なぁ、沖田。
山南とか言う男、最近様子がおかしかったり変わった動きをしとらんかったか?」
「そうだな…。
去年大坂へ行ったとき左腕を怪我をして帰ってきて、医者から二度と刀は振るえぬと言われたんだ。
だけど、治ったのか刀を振るう山南さんを見ているんだよねー…。」
「――ふむ…。」
しばし考え込むが、その足はピタリと止まってしまった。
「…。」
目の前に現れたのは話の中心であった山南であったのだった。