幕末怪異聞録


「それより時雨はん。」


「はい。」


急に口調が変わったため、何事かと時雨は背筋を伸ばした。


「あんさん、なんで男装してはるの?」


ガシッ!!


時雨の頬を両手で包んで顔を近付けて時雨の顔を穴が開く程見つめた。


「え?」


「綺麗な顔してはるのに男装やなんて……

もったいない!!

私、お登勢さんに言うていらんようになった着物貰てくる!」


そう力説したお龍は急いで部屋を出ていった。


(一体何なんだ!!)


ポカンとする時雨だが、その横で坂本は一人、大笑いをしていた。


「はははっ!
お龍はまっこと面白い女子じゃ!そう思わんか時雨さん!」


そんな坂本を見た時雨はふと頬を緩めた。


「あんた、お龍に惚れてんだろ。」


「な、何を言うがじゃ!そんな―――」

「そろそろお龍が帰ってくるかな~…♪」


ふふふと笑う時雨と顔を真っ赤にする坂本。



意外といいコンビ……かも…?



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