幕末怪異聞録
キンッ!
キンッ!
雨が降りそうな程淀んだ雲が空一面覆っており、まさに今新選組屯所での出来事を表しているようだ。
「あいつすげぇな…。
あの山南さんと互角にやってやがる…!」
「いや、あの者は手を抜いているな。」
「そうなのか…。
って、斎藤!急に出てくるなよ!」
感嘆していた永倉の横にいたのは、三番組組長の斎藤一であった。
ド派手に戦っていたため他の隊士らが気付き、周りに人が増えていた。
「何だこの騒ぎは!」
そんな騒ぎに気付いた土方が鬼の形相で出て来た。
それを見た灰鐘は土方に向かって叫んだ。
「土方ぁ!
余計な奴らを外に出すんじゃない!
巻き込んで殺しても儂は知らんからのぅ!」