幕末怪異聞録



キンッ!


キンッ!




雨が降りそうな程淀んだ雲が空一面覆っており、まさに今新選組屯所での出来事を表しているようだ。



「あいつすげぇな…。
あの山南さんと互角にやってやがる…!」



「いや、あの者は手を抜いているな。」



「そうなのか…。
って、斎藤!急に出てくるなよ!」



感嘆していた永倉の横にいたのは、三番組組長の斎藤一であった。



ド派手に戦っていたため他の隊士らが気付き、周りに人が増えていた。



「何だこの騒ぎは!」


そんな騒ぎに気付いた土方が鬼の形相で出て来た。



それを見た灰鐘は土方に向かって叫んだ。



「土方ぁ!
余計な奴らを外に出すんじゃない!
巻き込んで殺しても儂は知らんからのぅ!」



< 15 / 321 >

この作品をシェア

pagetop