幕末怪異聞録
「哀れだろうが何だろうが、私は“誇り”を守る!それが“誠”だ!!」
『――!!』
時雨は先程までとは比べものにならない速さで間合いを詰め、刀を振るった。
ガキーン!!
ザシュッ!
『――な、何……!?』
時雨の一閃は鬼尋坊を真っ二つに折り、最後の一撃は吉田の心の臓に突き刺さったのだった。
ドサッ……!
「あんたとは背負っているものも、覚悟の重さも違うんだ!
負けてたまるかよ…。」
『――いつか、その背負っているもので身を滅ぼすぞ…。』
「大きなお世話だ。馬鹿野郎!」
鼻息を荒くする時雨に吉田はフッと笑った。
そして、吉田についていた鬼は消え、吉田自身も息絶えたのだった。
心の臓に穴を開けて―――