幕末怪異聞録
(今まで人間なんて斬れなかったのに何故今回は斬れたんだろう……。)
そんなことを思っていたが、忘れている者に気付いた。
「ああっ!!
総司!大丈夫か!?
すまん、忘れてた!
って、うわぁ!何で血を吐いてんだよ!!」
思わず蹴ってしまった沖田の元にかけ寄ると、血を吐いてぐったりしていた。
「血を吐いたのは、時雨に蹴られたからだよ……。
時雨さ…少し“加減”って言葉覚えたら?」
「私のせいか!?私のせいなのか!それは本当にすまなかった!すぐに人を呼んできてやるから大人しくしておけ!」
そう言って、時雨はバタバタと部屋を出て行った。
それを確認した沖田はゴロンと仰向けになった。
「――“誠”…か……。」
(時雨、なかなかいい事言うじゃん。)
「―――って、あの人も怪我してなかったっけ?」