幕末怪異聞録
不敵に笑みを浮かべる灰鐘を見た平隊士は、土方に言われる前に蜘蛛の子散らすように逃げていった。
「なんじゃ、ここの隊士は軟弱者ばっかじゃのぅ…(笑)」
灰鐘は山南の斬撃を受けながらケタケタ笑った。
((お前が蹴散らしたんだろ!!))
と皆が思ったのは言うまでもない。
「――っと、そろそろ本気で行くぞ?」
ガキッン!!
力任せに山南を押し、距離を取った。
「…。」
「…。
来ないなら此方から行きますよ!」
急に押し黙り、構えも解いてしまった灰鐘に向かってダッと斬りかかった。
ザシュッ!!
パタタッ……
「――っ!」
その場にいた者は一同に息を飲んだ。
「―――くくくっ…!
テメェの繋ぎ目はそこじゃったな!」